この講演ではGuerrilla GamesのリードキャラクターアーティストであるArno Schmitz氏と、
リードマシンおよび武器アーティストであるLeonard Franken氏が、
Horizon Forbidden Westのキャラクターとマシンの作成プロセスを解説しています。
キャラクター作成
ベースボディ
1. フォトグラメトリによる高精度なスキャン
Forbidden Westでは、フォトグラメトリ技術を用いて、
実際の人物をスキャンし、高精度な3Dモデルを作成しました。
これにより、皮膚の質感や筋肉の動きなど、細部までリアルに再現したベースボディを実現しています。
Horizon Zero Dawnではベースボディを手作業でモデリングしていましたが、
Forbidden Westではスキャンデータを使用することで、
より自然で人間らしい表現が可能になったと言えるでしょう。
2. 多様な体型バリエーション
理想的な体型をベースに、
太った体型、筋肉質な体型、老いた体型、痩せた体型など、さまざまなバリエーションを作成しました。
これらの体型は、単にスケールを変更するだけでなく、
骨格構造や筋肉の付き方なども考慮して、リアルにモデリングされています。
さらに、ブレンドシェイプという技術を用いることで、
これらの体型を自由に組み合わせ、無限のバリエーションを生み出すことができます。
これにより、ゲームに登場する多様なキャラクターを、
効率的かつリアルに表現することが可能になりました。
3. 表情豊かな顔
顔のモデリングにおいても、フォトグラメトリを活用し、表情の微妙な変化まで捉えています。
目、口、眉など、顔のパーツを細かく動かすことで、喜怒哀楽など、さまざまな感情を表現することができます。
また、肌の質感やしわなどもリアルに再現されており、キャラクターに命を吹き込むことに成功しています。
4. 手のモデリング
Horizon Zero Dawnでは、手のモデリングが簡略化されていたため、
クローズアップシーンでは不自然に見えてしまうという課題がありました。
Forbidden Westでは、この点を改善し、指の関節や爪など、
細部まで丁寧にモデリングすることで、よりリアルな手を表現しています。
これにより、繊細な動きや感情表現が可能になり、
キャラクターの存在感を高めています。
トライバルコスチューム
各部族の文化や生活様式を反映した、特徴的なコスチュームをデザインしました。
衣装のデザインは、ZBrushでスカルプトし、ディテールマップと組み合わせることで、
布の質感や装飾などをリアルに表現しました。
特に、クエン族の衣装は、かぎ針編みのような独特の模様が特徴で、
ZBrushのスカルプトとInsertMultiMeshブラシを駆使することで、複雑な模様を効率的に作成しました。
スピードスカルプトと呼ばれる手法を用いることで、
ゲーム開発の初期段階からキャラクターモデルをゲームに組み込み、
他の部門の作業を妨げないようにしました。
マシン作成
マシンライブラリ
さまざまなマシン部品をモジュール化し、
ライブラリとして管理することで、効率的にマシンをデザインしました。
これにより、既存の部品を組み合わせたり、新しい部品を追加したりすることで、
多様なマシンを容易に作成できるようになりました。
ZBrushでのスカルプト
マシンのデザインは、まずモックアップを作成し、
それを基にZBrushでプレートをスカルプトしました。
Horizonの世界観に合うように、
有機的な形状と機械的なディテールを融合させたデザインを追求しました。
スカルプトの際には、シルエットを意識し、
ディテールを効果的に配置することで、マシンの個性を際立たせました。
スカルプトのクリーンアップ
ZBrushでスカルプトしたプレートは、ゲームに実装する前に、クリーンアップする必要があります。
トポロジーを整理し、ポリゴン数を削減することで、ゲームのパフォーマンスを最適化しました。
クリーンアップには、ZRemesherやDecimation MasterなどのZBrushの機能を活用しました。
全体を通して
Guerrilla Gamesのアーティストが、
どのようにZBrushを活用してゲームアセットを作成しているのかを、具体的な手順とともに示しています。
スカルプトのテクニック、ワークフロー、デザインの考え方など、
ゲーム開発者にとって貴重な情報が共有されています。
質疑応答では、視聴者からの質問に丁寧に答えており、現場の生の声を聞くことができます。
おすすめ書籍
Guerrilla Gamesクラスの造形を出力するには… やっぱり基本の美術解剖学をマスターする必要がありそうです。
最近は技術の進歩でなんとなく良いものを作りやすくなりましたが、
本当に説得力のあるものは基礎がしっかりしていること…と最近は特に思うようになりました。
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