2024 State of Game Technology
資料は以下となります。
https://www.perforce.com/resources/vcs/game-tech-report
ゲーム業界の現状と将来展望に関するレポート
「2024 State of Game Technology」を気になるポイントをまとめてみました。
ゲームエンジンはゲーム以外の分野でも活用され、生成AIの導入も進んでいます。
一方、人材不足と厳しいタイムラインが課題として浮き彫りになっています。
このレポートは、ゲーム業界でのキャリア形成を考える上で、重要な情報源となるはず…!
株式会社東陽テクニカ様から掲載許可を頂いております。
またこのレポートにつきましては東洋テクニカ様の方で翻訳作業を進めており、
東陽テクニカ様のホームページ上で公開する予定となっているとのことです。
調査対象について
この調査では、ゲーム業界内外を含む多様な576人のリーダーやクリエイターを対象とし、
その役職は経営幹部、プロダクトマネージャー、研究者、管理者など、20以上に及びます。
特に注目すべきは、回答者の3分の1がゲーム以外の業界で働いている点です。
ゲーム技術の急速かつ世界的な普及
ゲームエンジンは、その多様な用途から「リアルタイム3Dエンジン」とも呼ばれるようになり、
ゲーム開発以外のプロジェクトでの利用も50%を超えるなど、急速に普及しています。
なぜ様々な業界がゲーム技術に注目しているのか?
ゲーム技術が映画やテレビ、デジタルツイン、
自動車設計、教育、医療など、幅広い分野で急速に採用されている理由を探ります。
プロジェクトの複雑化
経済の不確実性(景気変動、需要増加、インフレ、地政学リスクなど)や、
リモートワークやグローバルチームの増加が、プロジェクトを複雑化させています。
さらに、消費者は様々なアプリケーションにおいて高品質でリアルなビジュアルを求めるようになり、
これにはより多くの時間とデータが必要となっています。
ツールセットの統合
企業は、リソースの節約とコストの削減を図るために、
テクノロジーのツールセットを統合しようとしています。ゲーム技術は、その汎用性の高さから、
さまざまなワークフローや業界に対応できる統合機能を備えていると認識されており、
回答者もゲームエンジンを教育/トレーニング、3Dアート、映画/テレビなど、
ゲーム以外の多様なプロジェクトに活用しています。
ゲーム技術は最先端
ゲーム開発者は、常にスケールとパフォーマンスのニーズの最先端を走っており、
モバイル機器からVRヘッドセットまで、多様なプラットフォームや要件、
ユースケースを考慮してプロジェクトを開発する必要があります。
そのため、ゲーム技術は最先端にあると言えます。
実際に、2022年から2023年にかけて、3つ以上のプラットフォームでゲームをリリースするケースが34%増加しています。
様々な業界のチームに影響を与える課題
資金調達が最大の課題
資金調達は、特にメディア・エンターテイメント、教育、
ゲーム業界において大きな課題となっており、
経済の不確実性がリスク選好度を低下させ、時間と人員の制約を増加させています。
リスク選好度?
企業や投資家が、不確実性や損失の可能性がある状況において、
どの程度リスクを取ることができるか、または取る意思があるかを表す概念
大容量ファイルの移動が、リモートワークよりもコラボレーションを阻害している
コラボレーションにおける最大の課題として、
大容量ファイルの移動の困難さが挙げられています。
これは、プロジェクトの規模とアセットの複雑さが増す一方で、
コラボレーションツールが追いついていないことが原因です。
リモートワークへの適応が進み、タイムゾーンや場所の問題は軽減されましたが、
依然として72%の課題は、チームや仕事の組織化の方法、
例えば情報の一元管理、フィードバック、共有リソース、コミュニケーションなどに関連しています。
チームメンバーの不足がイノベーションの最大の障壁
調査によると、回答者はイノベーションの最大の障壁として
「チームメンバーの不足」と「厳しいタイムライン」を挙げています。
この2つの課題が組み合わさることで、
従業員に負担がかかり、組織全体の弱点として浮き彫りになっています。
この問題を解決するには、管理作業を減らし、
創造的かつ革新的な仕事に集中できるようなソリューションが必要とされています。
業界横断的なゲーム技術トレンド
ゲームエンジンが様々な業界で採用されていることから、
ゲーム技術が最先端技術であることがわかります。
ゲーム技術は、オープンで柔軟なAPIを介して連携できる成熟したツールセットを備えており、
組織やスタジオは制作に関わる全ての役割をカバーする効率的なワークフローとパイプラインを構築できます。
Unreal Engineが主要なゲームエンジン
回答者の間では、
Unreal Engineが最も人気のあるゲームエンジンであり、63%のチームが使用しています。
Unityも47%とそれに続きます。
Unreal Engineは、3Dワールドをシンプルかつパワフルに、
そして多様な業界に対応できるように柔軟に設計できるため、
開発者に支持されています。
例えば、Unreal Engine 5でリリースされたMetaHuman Animatorは、
放送、ライブイベント、自動車、輸送、映画、テレビなどの業界で重要なツールとなっています。
メディア・エンターテイメント業界はUnreal Engineを圧倒的に支持
メディア・エンターテイメント業界では、
Unreal EngineがUnityよりも圧倒的に人気があり、
その利用率は51%となっています。
Unreal Engine 5のリリース以降、
主要映画やテレビ番組での使用も大幅に増加しています。
Unreal Engine 5は、バーチャルプロダクションをより多くのクリエイターが利用できるようにし、
AIツールによってフォトリアリスティックなビジュアルを短時間で制作可能にするなど、
様々な利点を提供しています。これらの利点により、
Unreal Engineはメディア・エンターテイメント業界にとって非常に価値のある資産となっています。
Godotが急速に採用されている
アルゼンチンで開発されたゲームエンジンGodotは、2014年にオープンソース化されました。
UnityやUnreal Engineよりも後発であるにも関わらず、回答者の9%が利用しており、
特に北米とラテンアメリカでの利用率が高いです。
Godotエンジンは → https://godotengine.org
人気が高まっている理由
Godotは、他のゲームエンジンと比べて、そのシンプルで直感的な設計が際立っています。
特にインディー開発者は、UnityやUnreal Engineの代替としてGodotに注目するケースが増えています。
その理由としては、以下のようなものが挙げられます。
無料でオープンソースである。
MITライセンスの下、Godotを使用してゲームを開発・構築するために料金やライセンスは必要ありません。
さらに、Godotはオープンソースであるため、ユーザーはすべてのソースコードを自由に修正して使用したり、
コミュニティに貢献したりすることができます。
簡単に使い始めることができる。
Unreal EngineやUnityのような人気エンジンは、
使い始めるのに40ギガバイト以上のストレージが必要になる場合があります。
それに比べてGodotのネイティブエディタはわずか8ギガバイトなので、
簡単に素早くゲームを作り始めることができます。
600人以上の貢献者が改良に取り組んでいる。
活発なコミュニティフォーラムのおかげで、
Godotの開発者は常にユーザーからの要望に応じた機能強化をリリースし、
エンジンのデバッグを行っています。
プロジェクト管理ツール
回答者の85%がプロジェクト管理ツールを使用しており、その役割は多岐にわたります。
近年、プロジェクトマネージャーは組織やチーム、
外部パートナーを横断して仕事をすることが増え、適切なツール選択が重要になっています。
調査では、多くのプロジェクトマネージャーが複数のツールを併用し、
特定のニーズや業界に対応していることがわかりました。
アーティストやデザイナーにとって不可欠なツール
今回の調査では、アーティストやデザイナーが主にDCCツールを使用してデジタルコンテンツを作成していることがわかりました。
多くのアーティストやデザイナーは3つ以上のツールを組み合わせて使用しており、
特にPhotoshop (62%) と Blender (59%) が回答者の中で最も広く使用されているツールであり、
それにMaya (42%) が続いていることも明らかになりました。
クリエイターのための新しい展望
ゲーム、映画、連続ドラマなどのストリーミングコンテンツの急速な普及により、
消費者の期待は大きく変化しました。
視聴者は、ゲーム業界やメディア業界だけでなく、他の業界に対しても、
質の高いコンテンツを迅速に提供することを求めるようになっています。
アーティストやデザイナーが今日の課題を受け入れるために必要なこと
進化するニーズに対応するためには、堅牢なツールセットで構成されるワークフローが必要です。
調査によると、回答者の半数 (51%) がアセットの管理とレビューにおいて
Perforce Helix Coreを使用していますが、バージョン管理だけでは不十分です。
今日のペースの速いクリエイティブ環境で成功するには、
デジタルコンテンツ制作のあらゆる側面に対応する包括的なツールキットの採用が求められます。
組織レベルで広く採用されている生成AI
生成AIは実験段階を超えて、組織レベルでの導入が進んでいます。
回答者の65%以上が組織内でAIツールを使用しており、特にChatGPTが47%と最も広く利用されています。
業界における生成AIの利用
業界別に生成AIツールの利用状況を見ると、
エンジニアリング、建設、建築、自動車・製造の業界ではChatGPTが最も人気ですが、
教育関係ではDALL-E、Adobe Generative Fill、Midjourneyといった画像生成AIツールが広く使われています。
メディア・エンターテイメント業界では、ChatGPTに加え、Midjourney、DALL-E、Adobe Generative Fillなど、
様々なツールが利用されており、生成AIの幅広い応用可能性を示しています。
特に、メディア・エンターテイメント業界では、
生成AIは、手作業が多く時間のかかるバーチャルプロダクションの
プロセスを効率化する大きな可能性を秘めています。
新しいワークカルチャー
ゲーム開発業界とメディア・エンターテイメント業界では、
大規模な人員整理が行われました。
AAAゲームやハリウッド映画の予算は増加しているにもかかわらず、
視聴者の時間と金を獲得することは困難になっています。
企業は、COVID後の市場において、予算を縮小し、
リソースを削減するなどの是正措置を講じています。
私たちは、より少ないリソースでより多くのことを行う時代に入りました。
今日の労働力が重視するもの
2023年以降、ゲーム業界では大規模なレイオフが続いており、
多くのクリエイターが転職を余儀なくされています。
このような状況下で、求職者が企業に求めるものは何かを調査した結果、
全業界において、リモートワークよりも経営陣へのアクセスとコミュニケーションを
重視していることが明らかになりました。
特にエンジニアリング、建設、建築分野とゲーム分野では、この傾向が顕著でした。
管理職が今日重視するもの
管理職は、採用候補者において、新しいスキルを学ぶ能力を最も重視しており、
特にメディア&エンターテイメント業界の管理職は全員がこれを重要視しています。
ゲーム業界では、専門的な経験よりも幅広い経験を持つ候補者が好まれる傾向があります。
幅広い経験?
ソフトスキル重視
専門知識や技術だけでなく、人格、情熱、コミュニケーション能力、
柔軟性、そして粘り強さといったソフトスキルを重視している。
学習意欲と成長
新しいスキルを学び、成長しようとする姿勢を高く評価している。
チームワークと協調性
チームの一員として、建設的な意見を述べ、
協力して仕事を進める能力を求めている。
責任感と献身
仕事に対する責任感と献身的な姿勢を求めている。
これらの特徴は、変化の激しいゲーム業界において、
特に重要視されていると考えられます。
技術的なスキルは重要ですが、それ以上に、
新しい技術や状況に適応し、チームと協力して目標を達成できる人材を
求めていることがわかります。
まとめ
ゲームエンジンは「リアルタイム3Dエンジン」とも呼ばれるようになり、
ゲーム以外のプロジェクトでの利用も50%を超えるなど、急速に普及しています。
これは、ゲームエンジンが高度なグラフィック機能と物理演算エンジンを備えているため、
建築、自動車、医療などの分野でも活用できるからです。
また、レポートでは、ゲーム開発業界における人材不足と厳しいタイムラインが、
イノベーションの最大の障壁となっていることも指摘されています。
この課題を解決するためには、開発チームの効率化と生産性の向上が求められます。
過去の調査レポート
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今回の調査対象は576人です。
なので調査としてはそこまで多くはないような印象はあります。
そのため内容は鵜呑みにしないようお願いします…!
ただ、思い込みではなく調査結果からキャリア形成は役に立ちます。
データを基に世界を正しく見る習慣はファクトフルネスがおすすめです!
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